Duolingo English Test(デュオリンゴ英語テスト)、通称DETのスピーキングで、一番新しい問題形式がInteractive Speaking(インタラクティブ・スピーキング)です。画面のキャラクターが音声で質問を投げかけてきて、それに各35秒以内に口頭で答える——つまり、AIを相手にした英語の会話をまるごと体験するタスクです。
この問題形式には、身構えておきたい特徴が3つあります。質問は音声だけで、画面に文字が出ないこと。音声は1回しか聞けないこと。そして準備時間がないことです。本物の会話と同じで、聞いたらすぐ話し始めるしかありません。
この記事では、DETで140点を達成した学習者の立場から、Interactive Speakingの基本ルールと会話の流れ、模範解答から見えてくる35秒の使い方、日本人がつまずきやすいポイントと練習法まで、まとめて解説します。
Kazu
Interactive Speakingとは?基本ルールを確認
Interactive Speakingは、AIのキャラクターを相手に6〜8個の質問に次々と口頭で答えていく、会話形式のスピーキング問題です。2025年のテスト更新で、それまでの「Listen, Then Speak」に代わって導入されました。テスト全体で1セット出題されます。
おもしろいのは、決まった質問リストを順番に読み上げるのではなく、こちらの答えに応じて次の質問が選ばれることです。また、セットの途中でトピックが1回変わります。最初の数問がひとつ目の話題、残りが新しい話題です。
基本ルールを表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | テスト全体で1セット |
| 質問の数 | 短い質問が6〜8個。途中でトピックが1回変わる |
| 解答時間 | 1問につき35秒。準備時間はない |
| 音声の再生 | 質問の音声は1回だけ。聞き直しはできず、質問の文字も表示されない |
| 質問の選ばれ方 | 直前の答えの内容に応じて、次の質問が選ばれる |
| 影響するスコア | 総合スコアとスピーキングのスコア |
採点は、解答が自動で文字に起こされたうえで、流暢さ・文法・発音・語彙・話の一貫性・質問に答えているかという6つの観点で評価されます。注目したいのは最後の「質問に答えているか」です。どれだけ流暢に話せても、聞かれたこととずれた内容では評価につながりません。1回きりの質問を正しく聞き取ることが、スピーキングなのにリスニングも同じくらい大事な問題形式です。
フート先生
解答画面と会話の流れをつかむ
画面に表示されるのは、相手役のキャラクターと「Record your answer(答えを録音する)」の案内、そして残り時間だけ。質問の文字はどこにも出ません。会話は次の流れで進みます。
質問はだんだん「意見」寄りになっていく
質問は身近な話題から始まり、「身近な描写 → 説明 → 意見と理由」の順に、少しずつ抽象的になっていくのが典型的な流れです。たとえば「健康的な習慣」がトピックなら、こんな進み方をします。
トピック自体は健康・教育・地域の店・環境など身近なものばかりで、専門的な語彙は必要ありません。ただし質問は後ろの部分に肝心な内容が来ることが多いので、「疑問詞と、最後まで聞いた条件」を頭に残すつもりで聞きましょう。
意見を聞く質問には「Why or why not?(なぜ?)」が付いてくることがよくあります。この一言を聞き逃すと、賛成か反対かだけ答えて理由を言わずに終わってしまい、「質問に答えているか」の観点で損をします。質問の最後のひとことまで気を抜かないのがコツです。
模範解答に学ぶ、35秒の使い方
ここからは、実際の模範解答を分解して「高評価につながる35秒」の中身を見ていきます。まず「Tell me about a healthy activity everyone can do.(誰でもできる健康的な活動について教えて)」への模範解答です。
模範解答の例(約35秒)
Something healthy that anyone can get involved in, I think, is hiking. The way I think of hiking is something that involves basically taking long walks, usually in nature, but it honestly doesn’t have to be in nature. I think it can be anywhere, which is why I think it’s something that everyone is able to do, and it’s good for your health. I try to go on one at least once a week.
(誰でもできる健康的なことといえば、ハイキングだと思います。ハイキングというのは、長い距離を歩くことで、自然の中が多いですが、そうでなくてもいい。どこでもできるからこそ誰にでもできるし、健康にも良いんです。私は少なくとも週に1回は行くようにしています。)
この解答、実は難しい単語をひとつも使っていません。それでも高く評価される作りになっているのは、35秒の中に役割の違う文が順番に並んでいるからです。
意見を聞かれたら「立場+理由2本柱」
「Do you think schools should teach students how to develop healthy habits?(学校は健康的な習慣の育て方を教えるべき?)」のような意見の質問には、模範解答はこう答えています。
模範解答の例(約35秒)
I do agree that students should be taught how to develop healthy habits at schools. Mainly, I think, in the short term. That’s the first reason. Because if they are taught healthy habits, it will set them up for success in their studies. But the other reason is long term. If they are taught how to develop healthy habits, I think it will help them become more independent and be better prepared for adult life.
(学校で健康的な習慣を教えるべきだという意見に賛成です。まず短期的な理由。健康的な習慣が身につけば、勉強がうまくいきやすくなるからです。もうひとつは長期的な理由で、自立して、大人になってからの生活への準備にもなると思います。)
ポイントは2つ。まず最初のひとことで賛成か反対かを言い切ること。そして理由を「短期と長期」「体と心」のような2本柱に分けることです。理由が2つあると35秒がちょうど埋まり、「That’s the first reason.」「But the other reason is…」のようなつなぎ言葉で、話の構造が聞き手にはっきり伝わります。この「2つに分けて話す」は、睡眠の利点を聞かれた別の質問でも「体への利点と心への利点」という同じ形で使われていました。どんな話題にも使い回せる万能の骨組みです。
日本人がつまずきやすい4つのパターン
次に、日本人学習者の解答によくあるつまずきを4つに整理します。どれも英語力が足りないというより、「35秒の使い方」を決めていないことが原因で起こるものです。
パターン1:1〜2文で終わって、残り時間が沈黙になる
一番多いのがこれです。たとえば「地元の店はどうすればもっとお客を集められる?」と聞かれて、「地元の食材を売ればいい」と一文だけ答えて話が尽きる。35秒のうち話しているのは10秒だけで、残り25秒は録音が回ったままの沈黙——という解答が本当によく生まれます。沈黙の時間は、流暢さの評価材料を何も残せません。「答えたら、理由か例をもうひとつ」を習慣にするだけで、この沈黙は大きく減らせます。
パターン2:頭の中で文を完成させてから話そうとする
準備時間がない形式なのに、完璧な英文を頭の中で組み立ててから話し始めようとして、出だしが遅れるパターンです。学校のテストなら正しい姿勢ですが、この問題では考えている沈黙も35秒に含まれてしまいます。模範解答ですら「I think」「basically」「honestly」のような言いよどみを挟みながら話しています。つっかえてもいいので、まず口を動かし始めるほうが結果的に良い解答になります。
パターン3:とっさに話すと、主語と動詞の関係が崩れる
時間に追われて話すと、日本語の発想のまま英単語を並べてしまい、「誰が・何を・どうする」の関係が壊れる。これも定番のつまずきです。よくある誤答例を挙げます。
| よくある誤答 | 自然な言い方 |
|---|---|
| I am agree with that idea. (「賛成です」の直訳でbe動詞と一般動詞が重なる) | I agree with that idea. |
| This activity is connect to health. (be動詞のあとに動詞の原形が続いてしまう) | This activity is connected to health. |
| It make people feel relaxed. (三人称単数のsが抜けて主語と動詞が合わない) | It makes people feel relaxed. |
| I want to talk about the near my house park. (「家の近くの公園」の日本語の語順のまま英語にしてしまう) | I want to talk about the park near my house. |
防ぎ方はシンプルで、一文を短くすることです。長い文を作ろうとするほど主語と動詞の関係は崩れます。模範解答も、よく見ると中学レベルの短い文の積み重ねでした。
パターン4:同じ単語をくり返して話が広がらない
語彙も評価の観点のひとつです。といっても難しい単語を使う必要はなく、問題になるのは別の質問でも同じ言い回しをそのままくり返してしまうことです。たとえば1問目で「地元の食べ物や食材」と答えたのに、2問目でもまた同じ表現に頼ると、話の中身も語彙も広がりません。「値段」「品ぞろえ」「店の人との会話」のように、質問ごとに別の角度をひとつ選ぶ意識を持つと、自然と使う単語も変わっていきます。
Kazu
35秒を埋める「答え→理由→例→まとめ」の型
つまずきパターンの対策をひとつにまとめたのが、この4段の型です。模範解答の構造をそのまま手順にしたもので、どんな質問が来てもこの順番で話すと決めておけば、「何を話すか」を考える時間を「どう話すか」に回せます。時間はあくまで一例の目安です。
目標は25〜30秒くらい話し続けること(目安)。満点の秒数が決まっているわけではありませんが、1〜2文で終わるより、この型で埋めた35秒のほうが、流暢さ・一貫性・語彙のどの観点でも評価材料が増えます。
解答は録音ボタンを押してから始まります。ボタンを押さないまま話し始めたり、無言のまま時間が過ぎたりするのが一番もったいないパターンです。また、難しい単語を思い出そうとして止まるより、知っている簡単な言葉でなめらかに話すほうが評価につながります。
Kazu
スコアアップに直結する練習法
Interactive Speakingの対策は、「1回きりの音声を聞き取る耳」と「35秒を埋める口」の両方を鍛える必要があります。自宅で回せる練習を3つ紹介します。
練習1:質問を「音声1回だけ」で聞いて答える
ふだんの練習から、質問を目で読まずに、耳で1回だけ聞いて答える形にします。質問文を読み上げ音声にして再生する、家族や学習仲間に読み上げてもらうなど、方法は何でも構いません。大事なのは「聞き直せない」条件を守ることです。本番と同じ緊張感の中で、疑問詞と質問の最後の部分を頭に残す訓練になります。
練習2:35秒で録音して、沈黙と文法崩れを数える
タイマーを35秒にセットし、自分の解答をスマホで録音して聞き返します。チェックするのは2つだけ。「2秒以上の沈黙が何回あったか」と「主語と動詞がかみ合わない文がなかったか」です。録音を聞き返すのは恥ずかしいものですが、沈黙と文法崩れを把握すると、自分では気づけなかった癖が見えてきます。回数を数えて記録すると、伸びが見えて続けやすくなります。
練習3:「2本柱」で答える瞬発力を鍛える
お題をひとつ決めて、理由や側面を必ず2つ挙げて答える練習です。「朝ごはんは大事?」なら「体にとって」と「気分にとって」。「電子書籍と紙の本どっち?」なら「値段」と「読みやすさ」。日本語で考えてもいいので、どんな質問も2つに割る癖をつけると、本番で理由がひとつ言えたあとに「もうひとつは……」と自然に話が続くようになります。健康・教育・買い物・環境・技術のような身近なトピックで回すと、そのまま本番の話題の予行演習になります。
Interactive SpeakingのFAQ
まとめ——「聞くのは1回、話すのは型で」に備える
最後に、Interactive Speaking対策の要点を整理します。
Interactive Speakingは、Duolingo English Testの中でも「英語で会話する力」を測る問題形式です。裏を返せば、ここで話せた経験は、留学や海外生活での会話にそのままつながります。DETのスコアアップと本物の会話力、両方を狙って練習していきましょう。
Kazu

